文字のない絵本。舞台セットのように組み立て、写真を撮って制作
| 2017年06月18日 11:40 | 吉村正臣 |
Camille Garoche カミーユ・ガロッシュ(フランス)
Le Lapin de Neige
雪ウサギ
文字のない絵本(制作の解説翻訳付)
出版社:Les Albums Casterman
1982年パリ生まれ。子供時代をフランス南西部で過ごし、セルジーの美術学校とパリの美術学校Mod’artでグラフィックを学びます。2007年エルメスの香水にちなんだ物語にイラストを提供。絵本作家として、数多くの絵本を出版するほか、ドイツのぬいぐるみブランド・シュタイフの仕事を長年担当。ショーウィンドーやポスターの仕事もあります。
文字のない絵本です。冬の寒いある日、積もった雪でウサギを作ります。雪のウサギを車いすの姉にあげる、そして庭に出ます。雪のウサギは独りでに、ぴょんぴよんと森に帰っていきます。追いかけるふたり、しかし車いすの姉さんは途中で力尽きます。困っている時、ウサギが助けに来ます。姉さんを背に乗せ、おうちまで連れて帰ります。
雪の森の色合いが深く美しい。木々の曲がりくねった幹に雪が積もり、所々、赤い実がなっています。雪が静かに舞い、美しい風景です。それを背景に、姉妹ふたりの衣服に暖色系の色彩が与えられ、ふたりを引き立たせ、姉妹があたたかく描かれます。
前景、中景、後景のコントラストがくっきりしています。それは作画方法にあります。それぞれの事物、例えば、姉妹、ウサギ、木々は紙にしっかり描き、切り抜いて、舞台セットのように組み立て、写真を撮っています。ランプの光は仕掛けの中に、豆電球を忍ばせています。すべてを紙に絵の具で描いていないのですね。
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