イラストレーターから画家に。古典デッサンを学び喜びや苦しみを描く
| 2018年03月26日 09:54 | 吉村正臣 |
Karien Deroo カリエン・ドルー(ベルギー)
1963年ベルギー生まれの画家です。古典の肖像画にインスピレーションを受け、肖像画や自画像を数多く描いています。ゲントのサン=リュック美術学院で絵画とグラフィックデザインを、さらにSASKルーセラーレ芸術学院でグラフィックの技術を深めます。グラフィック・デザイナーやイラストレーターを経て、2008年から画家活動に専念。3年間アトリエで自らの技術を高めることだけに集中し、2011年初めての展覧会を開催します。写真のスナップショットのように、人物の一瞬の表情や視線が際立ち、現代的な感覚と高度なテクニックをあわせもつ具象画として評価されています。
デザインの世界で長く仕事をしただけに、絵の見せ方が実に上手で、知りきった人ですね。もちろん絵は本当にうまい。古典的なデッサンをしっかり学び、身につけたよう。骨格、筋肉、皮膚のありよう・・・解剖学もマスターしたのでしょう、極められているから、顔のキレイさや表情の良し悪しだけでなく、顔の奥に隠れた感情や、深く埋もれた個人の秘密が、私たちに迫ってきます。そして、描かれた人の、奥底のドラマを推測してしまいます。どれほどの苦悩を背負っているのか・・・、あなたの悲しみはどこから湧いてくるのか・・・感じずにはいられなくなります。
この作家は、顔を媒体にして、人生の物語を描いているのではないでしょうか。作家の目に見えているのは、普通の人々の、喜びや苦しみ、生きることから生み出される様々な表情。鋭く鮮明に、隠すことなく描き出しています。
彫刻的構造と心情の表現は、彫刻家ロダンの「カレーの市民」を思い出しました。
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