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フランスのみならず、日本でも人気のあるオリヴィエ・タレック作

| 2018年04月25日 19:00 | 吉村正臣 |

Olivier Tallec オリヴィエ・タレック(フランス)

Je vous aime tant
ずっと愛してる

je vous aime表紙

 

フランス語 翻訳付
出版社:RUE DU MONDE

ブルターニュ地方の出身。ストラスブール装飾美術学校、パリにあるデュプレ応用美術学校で学びました。卒業後はグラフィックデザイナーを経て、イラストレーターに。2010年NHK教育テレビで、彼のシリーズ絵本「リタとナントカ」(Rita et Machin)がアニメとして放映されました。

物語は、内気な少年ガエタンは、向かいの建物の青い窓に住むローラをずっと見つめています。ガエタンはローラが好きなのですが、彼女の気持ちはわかりません。ある日、ガエタンはローラあての手紙を書き、投函するのですが、その手紙はローラに届くことはありませんでした。歳月は流れ、ガエタンもローラも年をとりました。ある日、ローラのもとに子どもの字で書かれた手紙が。それは大昔にガエタンが書いたものでした。手紙がきちんと届いていれば、ふたりはもっと長くいっしょに過ごせたかも…。この絵本は、それでも人に恋すること、今を生きることの大切さを教えてくれます。

バンド・デシネも多く手がけるオリヴィエ・タレックらしく、コマ割りのように描かれています。読者というより観客のような気分でご覧いただけます。不透明水彩絵の具でしっかり塗られていますが、絵がとても爽やかに見えます。ひとつは周りに白場がゆっくりとられたことと、色合いが優しく爽やからからでしょう。そして時に、深く暗く描かれ、ドラマティックで物語に変化をつけます。
鉛筆で描かれたイラストのいくつかは、未完成のようにも見えますが、時間の経過にもかかわらず、かわらずありつづける風景や事象を印象づけています。いい絵本です。

《翻訳の一部》  翻訳:泉 りき

ガエタンはすっかり大きくなった。ホラー映画だってこわくない。ガエタンの6階の部屋からは、通りの真向かいにある青い窓が見える。
身を乗り出すと、坂道を猛スピードで行く車が見える。肉屋、郵便配達の人たち、近所の子どもたち。誰もが急いでいる。
ガエタンには朝、学校へ出かける前の儀式がある。窓を開け、真向かいにある青い窓を見る。そこには同じ年くらいの女の子が住んでいる。
女の子の姿が見えないと、ガエタンは悲しげに窓から身を乗り出し、のんきそうで楽しげな外を眺める。靴に向かって話しかけながら支度をする「さあ、出かけよう。用意はいいかい?」。うす暗い階段を降り、学校へ向かう。
窓のそばに女の子がいたら、ガエタンはすぐさま空の方へと目を向ける。紅茶に入れたミルクを溶かすティースプーンを、上空で探しているみたいに。

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