パリの掘り出し物が見つかる小さな本屋さんで見つけたアラン・ゴーチェ
| 2018年05月24日 09:52 | 吉村正臣 |
Alain Gauthier アラン・ゴーチェ(フランス)
ALICE au pays des merveilles
不思議の国のアリス
フランス語
出版社:Editions Rageot
絵を描いたアラン・ゴーチェ(1931年生まれ)は、パリ出身のベテラン画家、イラストレーターです。グラフィックデザイナーのポール・コランに師事し、その後パリの美術学校アカデミー・ド・ラ・グランド・ショミエールで学びます。卒業後は広告代理店や大手印刷会社で、グラフィックデザインやアートディレクターとして腕を磨きます。1970年代、敏腕絵本編集者との出会いをきっかけにイラストレーターの道へ。ポスターのためのイラストを数多く描き、ヴィンテージ・ポスターのコレクターが存在するほどです。絵本はフランスのみならず、日本や米国でも出版されています。ロンドン国際広告賞のポスター部門第1位、1984年ニューヨーク・ブックジャケットデザイン賞、1994年アルフォンス・ドーテ賞、2000年、Prix de l’Affiche culturelle(文化活動に対するポスター賞)などを受賞。2016年には、幼少時代から長く過ごしたパリ郊外のブローニュ・ビアンクールで回顧展が開催されました。
イラストレーター アラン・ゴーチェの代表作といえる絵本です。1990年代に出版、発売されたこの絵本は、現在900ユーロ{約10万円}以上の高値で取引されています。夢うつつの世界をさまよう少女アリスへの、ちょっと意地悪それでいてやさしいまなざしが、イラストで表現されています。味気ない日常とは無縁の、どこか懐かしい世界に出会えることでしょう。
しっかり絵の具で塗り込んだが画面、とても重厚です。そこで描かれた事物が、とてもミステリアスに描かれます。扉の向こう、窓の向こうの空には不思議な静けさが漂います。空間には「なにか」が、忍んでいるようなのです。
事物のありえない組み合わせなどを写実的に描いたシュールレアリスト特有の、空想性に富んだ画面です。その中に、今日的な事物が取り入れられ、絵をこの時代にマッチさせています。また、にこっと笑わせてくれるところもあります。
※売り切れました。この絵本は絶版のため取り寄せできません。
この絵本の概要:http://illust-euro.ocnk.net/product/421