ジャリさん、きれいな絵に込めた難しいテーマに挑戦
| 2019年11月22日 20:00 | 吉村正臣 |
Martin Jarrie マルタン・ジャリ(フランス)
Têtes de bulles
思う・話す
フランス語 翻訳付
出版社:Editions Rue du Monde
フランス・アンジェ国立美術学校出身。イラストレーター、画家としてフランスをはじめ、世界各地で高い評価を受け、個人コレクターがいるほどです。2011年ボローニャ・ラガッツィ賞、2013年ボローニャ・ラガッツィ特別賞を受賞。2012年には、リスボン・イラストレーション・ビエンナーレILUSTRARTEで、回顧展が開催され、話題となりました。絵本の世界では、第一級の作家と組んだ作品が多いことも特徴です。
TÊTES DE BULLES 不思議なタイトルです。TÊTEは頭、BULLEはこの絵本にも登場する「吹き出し」のことです。さまざまな思いや考えが浮かんでは消える、人間の内面を20の頭と吹き出しで表現しています。
最後のページには、文字のない吹き出しが描かれています。心にしまった秘密や、ほんとうに誰かに聞いてみたい質問を、読者に考えさせようとしています。
片ページにシンプルなイラスト、片ページに鮮やかな1色に吹き出しに囲まれた文字で、構成されています。各ページは、補色に近い色合いで鮮やかな色彩構成。色の選び方は、さすがパリの作家、エレガントでキレイというしかありません。イラストは、彼の得意のグラフィック的な作品で、具象的な事物から抽象的な形までさまざまな細かい絵が、乱雑になることなく見事にまとめられています。想像したことをすべて描き出したのでしょう。絵の不思議さが、物語と相まって、よい作品となっています。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
食べたり 笑ったり 飛びはねる 飛行機の絵を描き アボカドのタネをまく
そしてときには、ものを考える
こんなことを考えることがある
将来はどうなっているのか、とか
どんな自分でありたいのか、とか
どんな仕事をしているのか、とか
誰を好きになるのか、とか
住む家のことも
ガラス張りの高層ビルなのか
木の一軒家なのか
生きるとは何なのか、考える夜もある
ため息まじりにひとりごと。
-人生なんて、なんだかむなしい-
この絵本のご購入は:http://illust-euro.ocnk.net/product/283