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西部開拓の物語「ルート66」は、映画、文学にたびたび登場。

| 2020年02月01日 19:02 | 吉村正臣 |

Frédéric Marais  フレデリック・マレ(フランス)

ROUTE66
もうひとつの西部開拓物語

フランス語 翻訳付
出版社:Saltimbanq

 

フランス出身(1965年生まれ)。ハンガリー生まれの画家ヴェラ・ブラウンのもとで、8歳から10年間、絵画を学びます。高校卒業後、パリのペニンゲン高等芸術学校に入学。グラフィックと広告ビジュアルについて学びました。広告代理店でアートディレクターを務めたのち、絵本作家になります。2013年、絵本Ephémèreでベルギーのフランス語絵本最優秀賞<Prix Libbylit>を受賞。この絵本は、イラスト・ユーロでも好評でした。さらに2016年絵本Yasukeで、フランスの絵本賞ソルシエール賞を受賞するなど、実力と人気を兼ね備えた作家です。

アメリカ=メキシコ戦争(1846-1848)に勝利したアメリカは、カリフォルニアやニューメキシコなどの領土を手に入れます。カリフォルニアで金鉱が発見されたことで夢の土地となり、西部へ移住する人たちが増加。安全なルート開発を担ったのは、前海軍中尉のもとに編成された軍人のチームでした。一行の中には、エジプトからやってきたラクダ約30頭と、ラクダ引きの男たちがいました。馬やラバでは耐えることができない過酷な自然を、ラクダたちは乗り越えていきます。扱いのむずかしいこの動物をコントロールし、チームの先駆けを担った中東出身のラクダ引き、愛称ハイ・ジョリ。

PCグラフィックソフトで描いたのでしょう、オレンジ色の鮮やかな作品です。ラクダでテキサス-カリフォルニア間2000キロを横断する様がシンプルに描かれます。ルートの建設に寄与しました。この道路はのちに「ルート66」と呼ばれ、映画、音楽、文学にたびたび登場しました。西部開拓はアメリカ人だけで行われたのではなく、ラクダたちの驚異的な身体能力とハイ・ジョリに代表される、中東の勇敢な男たちが大きな役割を果たしたことを、この絵本で発見してください。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉  りき

メキシコとの戦争が終わって2年後の1848年、アメリカは西へ西へと、はてしなく領土を拡大していた。よりよい生活を求め、野心あふれる開拓者たちが、新たな土地をめざした。住んでいた東部をあとにし、土地が肥沃で、発展しそうなカリフォルニアに向かうべく西部の開拓に乗り出した。

だが、夢見た大地・カルフォルニアにたどりつくには、過酷な砂漠を越えなければならなかった。人間の足跡など一切ない、広大な未開の地。東部の出身者には想像だにできない自然の中で、勇敢な者たちは道に迷い、命を落とした。

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