金色の魚と青い鳥が、本当の友達になる
| 2020年01月14日 22:17 | 吉村正臣 |
Jozef Wilkon ヨゼフ・ウィルコン (ポーランド)
Le poisson et l’oiseau
青い鳥と金色の魚
フランス語 翻訳付 出版社:bilboquet
ポーランド出身の世界的な絵本作家ヨゼフ・ウィルコン(1930年生まれ)。ポーランドの古都・クラクフの芸術大学で絵画を学びました。国内外で出版された絵本や作品集は、実に200タイトル以上になります。1959年初めての本を出版。ボローニャ絵本原画展やブラチスラバ世界展にもほか、1964年ドイツ児童文学賞、2011年「世界で最も美しい本コンクール」で作品が選ばれています。日本各地の美術館、パリ・ポンピドゥーセンターやザヘンタ国立美術館(ポーランド)など、世界各地で展覧会を開催。インク、水彩、パステルを中心に、動物や自然を描くことが得意です。
金色の魚と青い空の色をした鳥が、友情をはぐくむ物語です。空と水、違う世界に住む孤独な鳥と魚は、出会ってすっかり意気投合します。おたがいの住む環境を語り合ううちに、相手の住む世界へ行ってみたくなりました。願いがかなって魚は空へ、鳥は川へやってきて、相手を探すのですが、会うことができません。そのうちに自然の厳しさを見せつけられ、聞いていた話とずいぶん違っていたことから意気消沈しているところで、魚と鳥は出くわします。相手を思いやり、互いがうそをついたあと、大笑い。魚と鳥のやりとりに、温かい気持ちが広がる一冊。自然や生きものたちの姿をいきいきと描いています。
手でしっかり塗った重厚な絵です。地塗りをし、さらに上塗りを繰り返し、深い画面を作っています。絵本の実物を見ていただくと反射の異なる金色をふんだんに使い、絵に強い個性を出すとともに、豪華な絵にしています。朱色もキレイで特徴的です。細い線で描く木々や風景も、大胆な構図の中で、繊細なメローディーを奏でています。PCで描いた絵では出せない味わいで、作者が紙面に向かう熱意まで感じます。
≪翻訳の一部≫ 泉 りき
美しい森の奥深くに、一羽の青い鳥がいました。
日中は木々の上を飛び、虫を捕まえていました。
日が暮れるまで一日中、歌うようにさえずっていました。
鳥は、森と自分の巣が大好きでしたが、友達はいませんでした。
森を横切るように、川が流れていました。きれいな水の川です。
川には、一匹の金色の魚がいました。
魚は、藻と岩の間を滑るように泳ぐのが好きでした。
水の流れに身をまかせ移動します。
魚は、川と寝床をとても気に入っていましたが、友達はいませんでした。
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