現在ヨーロッパで、最も人気のあるイラストレーターの一人
| 2020年03月15日 18:52 | 吉村正臣 |
anne herbauts アンヌ・エルボー (ベルギー)
Il va pleuvoir
雨が降っても
フランス語 翻訳付
出版社: Casterman
アンヌ・エルボー(1975年生まれ)は、今やベルギーだけでなく、フランス語圏を代表するイラストレーターです。ブリュッセル王立美術学校で、イラストレーション、アニメーションを学びました。1999年と2010年、二冊の絵本でボローニャ・ラガッツィ賞に入選。2003年フランス・モントルイユ絵本市での受賞をはじめ、フランスやベルギーの主要な絵本賞を受賞しています。2018年、すぐれた児童文学に与えられるリンドグレーン記念文学賞で特別賞を受賞。常に、話題の作品を発表し、ヨーロッパ各国、アジア、アメリカにも紹介されてい
二匹のハリネズミ(ニルスとヌール)が、居心地のよい家から外へ出かけ、知らない世界を冒険します。一方、大人たちは家から空模様をながめ、雨が降りそうだ、雨が降ると穏やかな川の流れは急流となり、水が襲ってくるのだと、話しています。大人たちの言うことは本当でした。ニルスとヌールは恐れを振り払い、前へ進みます。自然のすばらしさは、勇気を持って恐れを克服した人だけがわかるもの-虎穴に入らずんば虎子を得ず-と作者は言いたかったのでしょうか。
フリーハンドで描く線は生き生きしています。この絵本の主人公のハリネズミは、生きている動作の一瞬を捉えているように見えます。目の動きが言葉を語っているようです。雨や川の水、そして空などはと水彩絵の具で描かれています。水の流れ、空模様など、絵の具のぼかし方で微妙なニュアンスを表現しています。大胆な筆使いですが、堂に入った描き方ですね。また、別の紙を切って貼るコラージュも使われています。この作家の特徴がよく出ている作品です。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
彼らは話していた。雷雨になりそうだ、と。
海から、森から、山から、あのあたりからやって来るのだ、と。
風や雲もやってくるだろう、と。
彼らは話していた。雨が降り出す、と。
ハリネズミたちは、しゃれていて居心地のよい場所を住まいにしていた。
おとなたちは窓のそばで、上空をながめていた
彼らは話していた。雨が降り出す、と。
子どものヌールとニルスは、地面を見ていた。庭には小川が流れていた。
小川の水はきらきら光り、歌うように音をたてていた。
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