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アオムシへの愛、思春期の少女の心の風景が表現されます。

| 2023年07月18日 05:00 | 吉村正臣 |

Marion Janin マリオン・ジャニン (フランス)

Mon amie la chenille
アオムシ-わたしの友だち

フランス語:翻訳付
出版社:L’Atelier du poisson soluble

 

マリオン・ジャナンは、フランスのリヨン出身(1972年生まれ)。現在フランス中央部オーヴェルニュに住み、イラストレーターとして活動しています。芸術家であった祖父のもと、幼いころから絵を描くことに親しんでいました。大学で数学を学び、教職を経験した後、イラストレーターをめざすことに。文化財団Fondation de Franceの奨学金を得て、フランスにあるふたつの美術学校(エピナル、ナント)で美術の勉強をします。2003年、自身のアフリカ・ブリキナファソへの旅の経験を絵本にした”Noir Ebène”でデビュー。繊細で丁寧なデッサンで、2011年ピュイ・ドゥ・ドーム県のすぐれた造形作家に贈られる賞を受賞します。絵本の出版のほか、音楽家の演奏シーンのデッサン作品も多数あります。

マリオン・ジャニンは、自分の娘をモデルにして、小さな女の子の友達・アオムシとの友情を描きました。少女はアオムシにやさしく、そして不安が語られ、思春期の少女の心の風景が表現されます。
この物語は、「2008年、私の子宮の中で胎児の命が育っているときに思いついたものと」語っています。

絵は、鉛筆でたいへん繊細でリアルに描かれています。版画を学んだからでしょうか、線が生き生きし、線で生み出されるグラデーションは美しく、新鮮に感じます。鉛筆画のところ、さらに色を入れたところも。色鉛筆を使い、一部に水彩絵の具も使っているようです。たいへんに清潔感があり、作者の人となりがうかがえます。

<翻訳の一部>  翻訳:泉 りき

友だちがいる。すてきな友だち。元気いっぱいでやさしくて魅力的。でも人じゃない。アオムシが友だちだなんて、ふつうじゃない。
慎重につきあわないと、とか、気をつかわないといけないわけじゃない。どんな友情もこわれやすいから、大事にしないと。
友だちはあまりおしゃべりじゃない。気づかいがあって、思いやりがあるタイプだ。自分もそれほどおしゃべりではないし。
秘密の友情?ちがう。秘密があるのはたしかにすてき。真の友情は唯一無二のものだし、相手をそのまま受け入れるのはむずかしい。

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