横長で縦開き、側面は赤く装飾された刺激的な絵本。
| 2023年08月04日 22:00 | 吉村正臣 |
Delphine Jacquot デルフィーヌ・ジャコ(フランス)
Une carapace pour deux
カメの甲羅でルームシェア
フランス語・翻訳付
出版社:L’ÉTAGÈRE DU BAS
1982年生まれ。フランス西部・レンヌの美術学校で、広告グラフィックデザイン、レイアウトを学びました。その後3年間、ブリュッセルの美術学校へ留学します。帰国後まもなく、大手出版社からデビュー作を出版します。コラージュ、鉛筆、マーカー、アクリル絵の具などを組み合わせて制作。
2014年、ムーランのイラストレーション博物館が授与するイラスト部門のグランプリを。その後、数々の賞を得ています。すでに20冊近い絵本を出版。
これは、甲羅の中で深い孤独を感じていたカメのお話です。そこで、ルームシェアをしてくれる人の募集広告を出しました。いろいろな人のプロフィールを見た結果、彼女の目にぴったりのウサギを見つけます!
さてウサギはカメの期待に応えることができるのでしょうか?あの有名なお話「ウサギとカメ」ではライバルだった2人が、フランスのエリック・ソンヴォワサンのお話とデルフィーヌ・ジャコのイラストの中で、どんな物語が繰り広げられるか・・・。
ともかく物語の発想がとんでもなくおもしろい!カメの甲羅がカメの家なんです、この中に、ベッドや椅子やトイレがありゲストルームもあるのですから驚きです。
ビジュアルが爽快!白い紙にグリーンの強い色、本の表紙裏や見返しには真っ赤。そのコントラストが素晴らしい。色鉛筆でていねいに形づくり、そして塗りこんでいます。一部に水彩透明絵の具、マーカーも使っているのでしょう色彩に深さを出しています。PCも使われているのかな?何より省略された大胆な表現が魅力です。大いに感心した一冊です。
この作品「Marions-les !ありえない結婚」も合わせてご覧ください。https://www.illust-euro.com/?p=9077
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
カメの住まいと言えば、甲羅です。カメと住まいはいつもいっしょです。のどが渇く、おなかが減る、急にトイレがしたい…これらのことは家から一歩も出ずに済ませることができます。
からだを丸めるようにして、ずっと家にいます。
住まいは広くありませんが、シックにまとまっていました。カメはとても気に入っていました。ほかにはない、唯一無二の空間でした。でも、ただひとつだけ不満な点がありました。大したことではない、と言われそうですが、実はひとり暮らしでした。話し相手がいないのです。
夜になると、静かすぎて気分が落ち込みます。寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めます。ひとりぼっちに耐えられなくなってきました。いっしょに過ごせる誰かが必要でした。
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